人間家族ー『 The Family of Man 』

2012.05.09

ブログ『桂』に出てきた  エドワード・スタイケン  の紹介です。

まずは、簡単なプロフィールから。

1879年・・・ルクセンブルグ生まれ
1923年・・・ヴォーグ誌などを発行しているコンデ・ナスト社のチーフフォトグラファーになる。
1947年・・・ニューヨーク近代美術館の写真部長に就任。
1955年・・・『The Family of Man』展を企画。

『The Family of Man』

この展覧会は、結婚・誕生・遊び・家族・死・戦争という人類の普遍的に共有される営みをテーマ
として、68ヶ国・273人・503枚の写真から構成している。
第2次世界大戦を経た世界に向けて「全世界を通じて人間は本質的に単一である」という
メッセージを表明するものであった。
1956年には、日本橋高島屋へも巡回している。

出品作品はルクセンブルク公国へ寄贈され、ユネスコの「世界記録遺産」として永久展示
されています。

日本語版 ↓

あれから60年近くたった今もこの写真集は、衝撃的で、感動します。
スタイケンがこの展覧会に込めた真剣な思いが伝わってきます。

実際に写真集を見ていると、何だか言葉を失い、締め付けられる思いがします。
一枚一枚の密度が濃く、なんだか落ち着かなくなります。

「きみたちの足どりの下から新しい世界が生まれる・・・・・・」の文章が添えられた最後
のページの写真は本当に息が詰まる思いがしました。

時之島の家:下地工事

2012.05.08

昨日、現場打ち合わせがありました。

いつもの事ですが、監督さんと大谷さん(家具屋さん)の熱の入った打ち合わせ風景。

ようやく、足場のシートの中に建物が少しずつ見えてきました

天使の輪?  ↓

ブルーノ・タウト

2012.05.07

桂離宮と日光東照宮

泣きたくなるほど美しい」・・・これは、あまりに有名なブルーノ・タウトの桂離宮を見ての第一印象です。 
タウトは桂離宮を讃美し、細部に至るまでその美しさをたたえていました。

タウトの言葉』
「古書院の間から眺める御庭の素晴らしい景観。それだのに新書院の前の御庭には、もうこのような造園術は見られない。藝術的鑑賞のこのうえもない優美な分化だ、すべてのものは絶えず変化しながらしかも落ち着きを失わず、また控え目である。眼を悅ばす美しさ、・・眼は精神的なものへの変圧器だ。日本は眼に美しい國である。」

というように、最高の賛辞となっている。

タウトは2回、桂離宮を訪問しており、それをまとめたものに「永遠たるもの」と「画帖桂離宮」がある。特に前者は桂離宮の訪問記として、彼の著書「日本の家屋と生活」の終章を飾るものであった。
2回目の訪問時も、同様に「涙はおのずから眼に溢れる」と表現している。

桂離宮を2回目に訪れた2週間後に、今後は日光を訪れている。
帝国ホテルの建築家であるフランクロイドライトも宿泊したことで知られる金谷ホテルに出向き、次の日に日光東照宮へ立ち寄っている。
そこで、タウトは日光東照宮を痛烈に非難する。
「すべてが威圧的で少しも親しみがない」とか「華麗だが退屈だ」とか「珍奇な骨董品の感じ」と罵声を浴びせた。ついには「建築の堕落だ・・・・しかもその極致である」と結論づけてしまった。

書籍などでこの2つの建物はほとんど同年代に造営されたのが分かっている。また、同じ人々が関係して作り出されたことも分かっている。
にも関わらず、両者は対極的とでも言うべき極端に異なる造形になっている。

もちろん二つの建築用途は違ってますが・・・桂離宮:皇族の別荘。
                           日光東照宮:徳川家康を神として祀るための宮寺。

先日、始めて日光東照宮を訪れ(ブログ:栃木県:2)、上記の事が本当に不思議でした。

どちらが好きかは人それぞれですが・・・・・・・・・・・・・・・・・。

※ ↑ 金谷ホテルの照明(本文と関係ないけど・・・・。)

『 桂 』

2012.05.05

』 と言えば・・・・・桂離宮の事。

今回は桂離宮の話ではなく、写真集についてです。

今年2012年2月6日に90才でこの世を去った写真家への追悼の意味で、写真集を購入しました。

その写真家とは・・・・・・・・・・石元泰博

1921年サンフランシスコで生まれ、幼い頃に一時日本に帰国し、1939年に再び単身で渡米。
第2次世界大戦中にコロラドの日系人収容所に入る。
戦後はシカゴのニューバウハウス(現イリノイ工科大学)写真学科に入学し、ハリー・キャラハンやアーロン・シスキンの下で写真を学んだ。この頃にモホリ・ナギ賞を2度受賞している。
 1953年に日本に戻り、浜口隆一・丹下健三・前川国男・坂倉準三・堀内捨巳・吉村順三 等と交流を持つ。
石元はエドワード・スタイケンとも交流があり、MOMAで開催された伝説の展覧会「The Family of Man」の日本側の出品作品を収集する仕事もしている。
その後に代表作のひとつとなる桂離宮の撮影を開始する。
1957年に第1回日本写真批評家協会作家賞
1969年には、有名な写真集「シカゴ・シカゴ」で毎日芸術賞を受賞。
1996年には文化功労者顕彰に選出。他数々多くの賞を受賞している。

※ちなみに「The Family of Man」は2003年にユネスコの世界記録遺産に登録されています。

『著書解題』・・・・・・内藤廣との「対談」の中で、石元は面白いことを言っている。

石元・・・「桂を始めて見たとき・・・・やっぱり庭なんだよね。何よりも一体感があった。庭に立つと、黒みを帯びた柱・鴨居・廊下の手すりが分割する建物の構成とか、緑の芝生とビロードのような苔の上を雁行する踏み石、そうしたものに独特のリズムを感じて心地よかった。書院の白壁と、わずかに陰影を持つ白い障子がまず目に飛び込んできて、その時、なぜかミース・フャン・デル・ローエの建物を思い起こしたんだ。学生時代に写真技術の演習でミースの建物を練習台にしたことがあるから、それでかな。ミースのピロティと古書院の縁側が一緒になっちゃった。」

内藤・・・・見てすぐに「レイクシュアドライブ」を思い出したのですか?

石元・・・・そう、桂に関しては、古い建築と言うよりも、最初からミースみたいな”モダンな形”をその中に見ていたんだろうね。・・・・・・・・・・。

石元さんの『桂』は先入観もしがらみも無く、とても純粋であり、写真集は、世界・日本を圧巻した。

  ■  「KATSURA」日本建築における伝統と創造        テキスト:ワルターグロピウス
                                       レイアウト:ハーバート・バイヤー

  ■  「」日本建築における伝統と創造             テキスト:丹下健三
                                       レイアウト:亀倉雄策

  ■  「桂離宮」 空間と形                     テキスト:磯崎新
                                       レイアウト:太田徹也

上記3種類の桂離宮を撮影した写真集はあまりにも有名で、それぞれ”グリピウス版””丹下版””磯崎版”として世に出ている。
上記の写真集は入手が難しく,何より高額という事もあり、購入はあきらめました。
今回、私が購入した写真集は・・・・『桂離宮』    テキスト:内藤廣
                               解説:横山正
                               装丁・デザイン:太田徹也

これは「伝統と創造」撮影時の写真に、「空間と形」撮影時のモノクロ写真も加えて再編集したものです。
何といっても、モノクロの『桂』はいい。特にこの写真集の黒の深さには感動です。

石元泰博の
桂以外の作品・・・・・・・・・・ シカゴ・シカゴ  (石元の出世作です。)
                 両界曼荼羅ー東寺蔵 国宝「伝真言院両界曼荼羅」の世界
                 HANA
                 シブヤ・シブヤ
                 色とかたち
                 湖国の十一面観音
                 刻(とき)Moment
 
                                          
ちなみに愛用カメラはもちろん「ライカ」です。

↑・・・・・ニューバウハウスの校長を務めた芸術家『モホイ=ナジ・ラースロー』の本です。
    石元泰博が大きな影響を受けました。

カブトムシ

2012.05.04

気の早い・・・・・・カブトムシ

カブトムシって?

栃木県:3

2012.05.02

栃木県と言えば、隈研吾さんの建築が多くあります。

いくつか紹介。

宝積寺駅

天井が印象的です。

ちょっ蔵広場

蔵のリノベーションです。
既設の石(大谷石)870×260を加工して積み上げた。
石と鉄のハイブリット構造。

「透明な大谷石の壁」

外壁はもちろん『大谷石』。

那須芦野・石の美術館

街の中に突然 現れます。

私も大好きな『芦野石』です。

外部からは、閉鎖的ですが、内部のイメージは違います。↓

室内空間。

茶室内部の壁。

グレーの石:芦野石
茶の石:芦野石を焼いた物。

那須歴史探訪館

石の美術館のすぐ近くです。

この季節・・・桜が満開です。

那珂川町馬頭広重美術館

木製格子・・・・・八溝杉
床・・・・・・・・・・・芦野石(白河石)
壁・・・・・・・・・・・烏山和紙

やはり 栃木県も震災の影響がいろいろな場所でありました。

栃木県:2

2012.04.30

栃木県:1 で書いた様に、ここは 大谷石 が有名です。

栃木県に行く機会があれば、『大谷石資料館』には是非行ってみたいと思っていました。

しかし、3月11日の震災の影響で、現在休館になっています。

諦められず近くまで・・・・・。

近くに行くと大谷石の壁が迫ってきます。

迫力あります。

しかし、残念です。

日光東照宮

日光金谷ホテル

1893年に本館がOPEN。
設計:久米権九郎・㈱久米設計

第17回BELCA賞ロングライフ部門表彰。

以前、アインシュタインも宿泊。

栃木県:3に続く。

栃木県:1

2012.04.29

海外の安価な石の需要が多くなり最近では国産の石を使う事も少なくなりました。
その中でも変わらず 人気のある石に『大谷石』があります。

大谷石の一大産地は栃木県の那須から鹿沼市、宇都宮市にかけての地域になります。
大谷石は火山灰や砂礫が沈殿して凝固した軽石凝灰岩の一種で、耐久性があり、加工性が良く、
昔から住宅に多く使われてきました。一口に『大谷石』と言っても、産地によって色や性質が違うために、呼び名もそれぞれ『芦野石』・『深岩石』・『徳次郎石』と異なります。
『大谷石』を使用した印象的な建物と言えば・・・・・・・「二期倶楽部」。
1986年に竣工したリゾートホテルです。
本館の設計:渡辺明設計事務所
東館の設計:コンラン&パートナーズ+山本・堀アーキテクツ
この建物は那須高原に位置し、建物にはほぼ県産の材料が用いられています。
「人の集まる場」「人の行きかう場」「人のくつろぐ場」と空間を分ける3枚の壁には、
900×300×90mmの大谷石を使用し、出目地部分には漆喰を使う伝統的な工法が用いられています。
内部の柱・壁等・・・大谷石
アプローチ・外構・・・白河石
浴室・・・芦野石
本館 ↓

大谷石の壁と瓦屋根が印象的な建物。 廻りの景観に溶け込んでいます。

壁がいいですね。





本館の駐車場からレセプションに向かう屋外通路です。

左の壁:大谷石
右の壁:杉板本実型枠コンクリート打放し仕上げ+杉板張り
アプローチ床:大谷石
駐車場床:ピンコロ石

散策路から本館を見る。・・・森の中に建っています。

コリドール:本館から東館に向かう通路。
両側の壁には大谷石を使用し、目地部分には漆喰を塗りこんでいます。
上品で重厚な雰囲気です。

本館 レセプション横のリキュールルームです。

レセプションからメインダイニングを見る。
正面の壁仕上げ・・・杉板本実型枠コンクリート打放し。 自然な雰囲気です。

部屋・浴室。
東館↓

客室棟・・・構造:鉄筋コンクリート造
       外壁:木質ルーバー(セランガンバツー) 

やはり・・・森の中に建ってます。

メイン棟・・・構造:鉄筋コンクリート造
       外壁:コンクリート打放し仕上げ
ホール・ガーデンレストラン・・・・景観が良いですね。
観季館(かんきかん)↓ 
二期倶楽部のゲストハウス(ウエディング・会食・パーティー)。
本館から少し離れた山の中に位置します。
正面玄関。
側面・・・コンクリート打放し仕上げ模様。
『七石舞台ーかがみ』・・・・屋外劇場。
構想・・・・松岡正剛
建築・・・・内藤廣
石師・・・・和泉正敏

七石舞台から二期倶楽部の本館方向。
周辺散策路

散策路から東館のメイン棟方向を見る。

  



散策路周辺

散策路
散策路
豊かな自然の中に、素直に建物が建っています。
もちろん、県産の素材をたくさん使用する事で、場に適した風合いになっています。
竣工から20年以上の時が経っていますが、それを感じさせない建物です。
奇をてらわない無理のない上品なデザインがとても良いですね。
自然(木・水・石・・・等)が全てです。
栃木県:2に続く。

音聞山の家:掘削工事

2012.04.27

現在、掘削工事中です。

擁壁基礎の掘削が完了したので、本日 宅造工事の第1回目中間検査を受けました。

高低差が大きいので、もう少しかかりそうです。

土質が良いので、地盤はとても安定しています。

松韻亭

2012.04.27

『松韻亭』・・・・・浜松市茶室

竣工:1997年
設計:谷口建築設計研究所 谷口吉生 
施工:水澤工務店

谷口さんの純和風建築。
豊田市美術館の茶室ができた2年後に完成。

谷口さんらしくとても上品で繊細な建築です。

『資生堂アートハウス』

竣工:1978年
設計:計画・設計工房(谷口吉生・高宮真介)
施工:株式会社 フジタ

谷口建築の初期作品(処女作)です。

1979年に日本建築学会賞を受賞。

これだけ年を重ねても古さを感じさせない、今も新鮮な建物です。

『ねむの木子ども美術館(どんぐり)』

竣工:2006年

設計:藤森照信+内田祥士(習作舎)