桂離宮と日光東照宮
「泣きたくなるほど美しい」・・・これは、あまりに有名なブルーノ・タウトの桂離宮を見ての第一印象です。
タウトは桂離宮を讃美し、細部に至るまでその美しさをたたえていました。
『タウトの言葉』
「古書院の間から眺める御庭の素晴らしい景観。それだのに新書院の前の御庭には、もうこのような造園術は見られない。藝術的鑑賞のこのうえもない優美な分化だ、すべてのものは絶えず変化しながらしかも落ち着きを失わず、また控え目である。眼を悅ばす美しさ、・・眼は精神的なものへの変圧器だ。日本は眼に美しい國である。」
というように、最高の賛辞となっている。
タウトは2回、桂離宮を訪問しており、それをまとめたものに「永遠たるもの」と「画帖桂離宮」がある。特に前者は桂離宮の訪問記として、彼の著書「日本の家屋と生活」の終章を飾るものであった。
2回目の訪問時も、同様に「涙はおのずから眼に溢れる」と表現している。
桂離宮を2回目に訪れた2週間後に、今後は日光を訪れている。
帝国ホテルの建築家であるフランクロイドライトも宿泊したことで知られる金谷ホテルに出向き、次の日に日光東照宮へ立ち寄っている。
そこで、タウトは日光東照宮を痛烈に非難する。
「すべてが威圧的で少しも親しみがない」とか「華麗だが退屈だ」とか「珍奇な骨董品の感じ」と罵声を浴びせた。ついには「建築の堕落だ・・・・しかもその極致である」と結論づけてしまった。
書籍などでこの2つの建物はほとんど同年代に造営されたのが分かっている。また、同じ人々が関係して作り出されたことも分かっている。
にも関わらず、両者は対極的とでも言うべき極端に異なる造形になっている。
もちろん二つの建築用途は違ってますが・・・桂離宮:皇族の別荘。
日光東照宮:徳川家康を神として祀るための宮寺。
先日、始めて日光東照宮を訪れ(ブログ:栃木県:2)、上記の事が本当に不思議でした。
どちらが好きかは人それぞれですが・・・・・・・・・・・・・・・・・。